EDC分科会


 EDC分科会は,臨床試験における電子データ収集システム[EDC]の普及に呼応して発足以来,その導入と効果的な利用および品質保証の検討を中心に活動してきました。
 近年においては,CDISC標準データの申請時提出義務化やICH-E6[R2]発出という世の中の変化を受け,CDISCや,EDCデータが重要な役割を担うRBM[Risk Based Monitoring],eSourceの実装に向けた活動にも取り組んでいます。

 2021年度は,ePRO導入の際にどのような文書を作成すべきかについて,模擬プロトコルを用いて検討しています。また,近年は内資系企業であってもGlobal Studyに関わる機会も増えており,また,国内治験であっても海外の規制当局へ提出する申請パッケージに包含される機会が増えています。そこで,欧米やアジア等での治験実施や承認申請に関して,FDA,EMA,NMDAの制度や規制を中心に学習し,留意点などについて検討しています。

 活動に際しては製薬会社,CRO,アカデミアおよびシステムベンダーなどから参加会員が集まり,データマネジメント,モニタリング,規制関連等様々な側面からアプローチをしています。研究テーマを設定し成果物を完成させるだけでなく,その過程がメンバーのスキルアップに繋がっています。またメンバーの様々な悩みを共に考えることや,“聞ける相手”を増やすことができるのも分科会の大きな魅力となっています。

【現在の主な研究テーマ[2023年8月時点]】


CRO委託時のOversight                     

 EDC構築,DM業務などにCROに委託した際のOversightにおいて,何をどこまで確認するべきか,検討していきます。

ChatGPT/AIの活用について                    

 ChatGPTなどのAIについて学習した上で,ChatGPTなどのAIを活用して,EDC/DM/CDISC/RBMなどに効率的に実施することができるのか,検討していきます。

eCOA                               

 ウェアラブル端末であるeCOAの実際の使い方や収集できるデータ形式について調査を行い,今後の治験においてのニーズの調査及びEDC分科会としての見解を検討していきます。

global治験                             

 2021年度に勉強したグローバル治験について,「国際共同試験 ポケット資料集」を参照して各国の規定要件を勉強して,EDC分科会としての見解を検討していきます。

【過去の主な取り組み】


eCOA
 ウェアラブル端末であるeCOAに関してSCDMの文献を読んでeCOAについて理解を深めました。

ePRO (患者報告アウトカム電子システム)
 ・・>ePROの実装に向けてメリット・デメリットの分析,導入前,導入時,運用か
 ら申請までの活動内容について,EDCの見解を纏めました。模擬プロトコルを
 用いて,ePROを実装する際に必要となる文書を作成しました。

global治験
 ・・>電子データに関するFDAガイダンスに関する勉強会を開催しました。
 またGlobal治験に関する分科会メンバーから出た疑問についてEDC分科会の
 見解をまとめました。「国際共同試験 ポケット資料集」を参照して各国の規
 定要件を勉強しました。

RBM
 ・・>新型コロナウイルスの影響に伴う臨床試験に関する業務分析,RBMに関す
 るリスクの洗い出しを行い,リスク削減のための取り組み関してEDC分科会の
 考えを協議しています。

eSource
 ・・>FDAのガイドラインによる考え方,Transceleateのイニシアチブの方向
 性の学び,eSourceシステム導入のメリット,臨床試験におけるデメリットや役
 割の変化等を学びました。

CDASHに基づくデータべ―ス化
 ・・>2018年で学んだ最新のCDASHのIG[Implementation Guide]に基
 づき,模擬プロトコルの作成,CDASHを適用したAnnotated CRFの作成,
 EDC化を行いました。

RBM実装に向けて
 ・・>“臨床試験のQMS[Quality Management System]”について理解を
 深めるとともに,各社の情報をシェアし,RBM導入の阻害要因,組織体制,最近の
 EDC機能,KRI[Key Risk Indicator]の実際など,RBM実装に向けたより現
 実的な手順について考えました。各社へのRBMの実施状況のアンケートを行
 い,EDC分科会が考えるRBMの理想を取り纏めました。

Risk Based Monitoring[RBM]
 ・・>TransCelerateのPosition Paperを参考に,RBM実装フローやRisk
 Assessment Categorization Tool[RACT]を検討し,[~RBMの狙い
 とTransCelerateの推奨する方法論~]にまとめ上げました。

SDTM作成の実践的経験
 ・・>2016年10月の電子データ申請開始に向けて,CDISC,特にSDTMの理解
 を深めるべく,プロトコルからSDTM作成までを実践しました。またマッピング
 上の悩ましい点や留意点について共有化を図りました。

CROに全委託した際の品質保証
 ・・>EDC運用業務全般をCROに委託した場合の品質を保証するためにスポンサ
 ー・CRO・EDCベンダーの理想的な役割分担を検討しました。それと関連し
 て,DM業務全般を受託しているCROに全委託の受け入れ体制,国際共同試験の
 経験等についてアンケートを実施しました。

EDC管理シートのサンプル作成
 ・・>PMDAが適合性調査で本格的に使うことになったEDC管理シートに関し
 て,各メンバーの経験や考えを踏まえてサンプルを作成しました。


[2023年7月末日現在]